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【2026年8月更新】退職金運用と生命保険|60代の守り配分3基準

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山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
執筆者山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
【2026年8月更新】退職金運用と生命保険|60代の守り配分3基準
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生命保険
一時払い終身保険
60代 資産運用
NISA 退職金
iDeCo 60代
相続対策

退職金を一度に動かす前に、まず守り配分を決めましょう

退職金を受け取る60代にとって、最初の悩みは「銀行に置くだけでいいのか」「NISAで増やすべきか」「一時払い終身保険も検討すべきか」ではないでしょうか。
2026年8月時点では、金利上昇を背景に円建ての一時払い終身保険の予定利率を引き上げる動きがあり、退職金運用の選択肢は以前より広がっています。一方で、退職金は老後生活費、医療・介護費、相続対策まで支えるお金です。増やすことだけを優先すると、相場下落時や急な支出で困る可能性があります。
この記事では、 退職金運用 と生命保険を60代向けに整理し、「すぐ使うお金」「守るお金」「育てるお金」の3基準で外しにくい配分を考えます。商品名より先にお金の使い道を分けるだけで、銀行窓口や保険相談で勧められた商品を冷静に比較しやすくなります。

60代の退職金運用で最初に分ける3つの箱

  • 1
    生活費や税金、住宅修繕費など、5年以内に使う可能性が高いお金は預貯金や個人向け国債など値動きの小さい場所に置きます。
  • 2
    医療費、介護費、配偶者の生活費、葬儀費用など、使う時期は読みにくいがお金の目的が明確な部分は生命保険も候補にします。
  • 3
    10年以上使わない余裕資金は、NISAのつみたて投資枠や成長投資枠を使い、分散投資で育てる選択肢を検討します。
  • 4
    退職金を受け取った直後に一括投資をせず、半年から1年ほどかけて家計の支出ペースを確認してから配分を固めます。

2026年8月のトレンド:金利上昇で一時払い終身保険が再注目

2026年は、退職金運用で生命保険を検討する人が増えやすい環境です。住友生命は2026年7月1日契約分から一時払終身保険の予定利率を1.75%から2.25%へ改定すると公表しています。同社の(一時払終身保険の保険料率の改定について)では、契約年齢60歳・一時払保険料1,000万円の例で、改定後の死亡保険金額が男性1,507.9万円、女性1,652.5万円になる例も示されています。
予定利率は保険会社が契約者に約束する運用利回りそのものではありませんが、保険料や解約返戻金の設計に影響する重要な前提です。ただし、予定利率が上がったからといって、退職金を大きく生命保険へ寄せるのは早計です。一時払い終身保険は死亡保障や相続対策に使いやすい一方、契約直後の解約では元本割れする商品もあります。金利上昇局面ほど、流動性を残す判断が大切です。

退職金を一時払い終身保険にまとめてもいいですか?

銀行で一時払い終身保険をすすめられました。退職金の半分くらい入れても大丈夫でしょうか?
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
まずは生活費5年分、医療・介護の予備費、住宅修繕費を別に確保しましょう。そのうえで、相続や葬儀費用など目的が明確な金額だけを生命保険で検討するのが現実的です。

基準1:5年以内に使うお金は運用しすぎない

60代の退職金運用で最も避けたいのは、使う予定があるお金まで価格変動の大きい商品に入れてしまうことです。たとえば、年金受給開始までの生活費、住宅ローンの残債、車の買い替え、親族への援助、住み替え費用などは、相場が悪い時期でも引き出せる状態にしておく必要があります。
生命保険文化センターの2024年度調査では、2人以上世帯の生命保険加入率は89.2%、世帯年間払込保険料は平均35.3万円とされています。詳しくは(生命保険に関する全国実態調査)で確認できます。多くの世帯が保険に入っている一方、保険料や一時払保険料は家計の固定化にもつながります。退職金を受け取ったら、まず5年以内に使うお金を現金性資産に残し、それ以外を生命保険やNISAに回す順番が安全です。
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
退職金は増やす前に、取り崩しても生活が崩れない形に整えることが先です。

基準2:生命保険は相続・死亡保障・受取人指定で考える

退職金と生命保険の相性がよい場面は、単なる運用ではなく「誰に、いつ、どの形でお金を渡すか」がはっきりしている場合です。たとえば、配偶者の生活費を確保したい、葬儀費用を子どもに負担させたくない、相続時に受取人を指定して現金を残したい、といったニーズです。
生命保険の死亡保険金には、相続税の計算で「500万円×法定相続人の数」の非課税枠があります。ただし、相続税がかからない世帯では税メリットよりも、受取人指定や資金準備のしやすさが主な価値になります。保険は万能の運用商品ではなく、 相続対策 や死亡保障という目的が合う部分だけ使う道具と考えましょう。

一時払い終身保険を検討する前の確認項目

  • 1
    契約から数年以内に解約した場合の解約返戻金が、払込保険料を下回らないか確認します。
  • 2
    円建てか外貨建てかを確認し、外貨建ての場合は為替変動で円ベースの受取額が減る可能性を理解します。
  • 3
    死亡保険金の受取人を誰にするかを決め、相続時の資金の流れを家族構成に合わせて整理します。
  • 4
    預貯金、NISA、個人向け国債、年金収入との合計で、老後資金全体のバランスを確認します。
  • 5
    販売手数料や推奨理由を担当者に聞き、複数商品を同じ条件で比較してから判断します。

基準3:NISAは退職金を一括投入せず時間分散で使う

退職金運用でNISAを使う場合は、非課税メリットが大きい一方で、投資元本が保証されない点を忘れてはいけません。金融庁の(新しいNISAのポイント)では、つみたて投資枠が年間120万円、成長投資枠が年間240万円、合計で年間360万円まで利用でき、生涯の非課税保有限度額は1,800万円とされています。成長投資枠だけで使える上限は1,200万円です。
60代は運用期間が若い世代より短くなりやすいため、退職金を一括で投資信託へ入れるより、毎月または数回に分けて購入する方法が現実的です。特に、生活費を取り崩しながら運用する人は、相場下落時に売却せざるを得ない状況を避けることが重要です。NISAは「使わないお金を非課税で育てる場所」であり、生活費の置き場ではありません。

60代からNISAを始めても遅くないですか?

もう60代なので、NISAを始めても意味がない気がします。
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
使う予定のない余裕資金で、10年以上の時間を見込めるなら選択肢になります。ただし、生活費や医療・介護費まで投資に回すのは避け、現金と保険の役割も一緒に考えましょう。

iDeCo改正は60代にも関係するが、受け取り方に注意

2026年12月1日施行予定の制度改正では、60歳以降のiDeCo活用の幅が広がります。厚生労働省の(2025年の制度改正)では、一定の要件を満たす60歳以上70歳未満の人にもiDeCoの加入・継続拠出を認めること、拠出限度額の引き上げが予定されていることが示されています。
60代で働き続ける人にとって、 iDeCo は所得控除を受けながら老後資金を積み増す候補です。ただし、受け取り時には退職金や企業年金との関係で税負担が変わることがあります。退職金を受け取った直後にiDeCoを始める場合は、「拠出時の節税」だけでなく「受け取り時の税金」までセットで確認しましょう。
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
NISA、iDeCo、生命保険はどれか一つを選ぶものではなく、使う時期と目的で役割分担するものです。

退職金の税金を把握すると、運用に回せる金額が見える

退職金は受け取った金額がそのまま自由に使えるとは限りません。国税庁の(退職金を受け取ったとき)では、退職所得の金額は原則として「収入金額から退職所得控除額を差し引き、その2分の1」とされています。退職所得控除額は、勤続20年以下なら「40万円×勤続年数」、20年超なら「800万円+70万円×20年を超える勤続年数」が基本です。
勤務先に「退職所得の受給に関する申告書」を提出していれば、通常は退職金支払い時に適切に源泉徴収されます。ただし、複数の退職金や企業年金、一時金で受け取るiDeCoが絡むと、税金の見通しが複雑になります。運用配分を決める前に、 退職所得控除 後の手取り額と、今後の税・社会保険料の影響をざっくりでも確認しておきましょう。

60代の守り配分モデル:迷ったら半分以上を安全資産に

具体的な配分は家族構成、年金額、住宅の有無、健康状態で変わります。とはいえ、退職直後で支出が読みにくい60代前半なら、退職金の半分以上を預貯金や個人向け国債などの安全資産に置く考え方は堅実です。残りを生命保険とNISAに分ける場合も、生命保険は相続・死亡保障目的、NISAは10年以上使わない余裕資金という線引きをすると判断しやすくなります。
たとえば、退職金2,000万円なら、生活費や予備費として1,000万〜1,200万円を安全資産に、葬儀費用や相続対策として200万〜500万円を生命保険候補に、残りをNISAで数年に分けて投資するイメージです。住宅ローンが残る人は返済予定を先に確認し、配偶者の介護リスクが高い人は医療・介護予備費を厚めにします。相談前には、退職金の手取り見込み、ねんきん定期便、現在の保険証券、住宅ローン残高、毎月の生活費、預貯金・投資信託の残高を用意しておくと判断が早くなります。

まとめ:重要ポイント

  • 1
    退職金は「5年以内に使うお金」「守るお金」「育てるお金」に分けてから運用商品を選びます。
  • 2
    一時払い終身保険は金利上昇で注目されていますが、相続・死亡保障・受取人指定など目的が明確な部分に使うのが基本です。
  • 3
    NISAは非課税枠が大きい一方で元本保証ではないため、60代は一括投入より時間分散を意識します。
  • 4
    iDeCo改正や退職金税制は手取りと受け取り方に影響するため、節税効果だけで判断しないことが大切です。
  • 5
    退職金の配分は年金額、住まい、家族構成、健康状態で変わるため、個別に棚卸しする価値があります。

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