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【2025年12月更新】法人保険 改正対応|子ども・子育て支援金時代の損金・福利設計

更新:
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
執筆者山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
【2025年12月更新】法人保険 改正対応|子ども・子育て支援金時代の損金・福利設計
法人保険
子ども・子育て支援金
防衛特別法人税
総合福祉団体定期保険
GLTD
損金判定
賃上げ促進税制

改正マップの全体像

2019年の法人税基本通達改正で 法人保険 の損金判定は「解約返戻率帯(50/70/85%)」に一本化されました。2026年には医療保険料に上乗せして拠出する 子ども・子育て支援金 が始まり、企業と従業員で労使折半になります。さらに同年開始事業年度から、防衛力強化の財源確保として 防衛特別法人税(課税標準法人税額×4%、年500万円の基礎控除あり)が適用される見込みです。
損金・福利を統合的に設計するには、この「2019→2026」の改正ラインを地図のように俯瞰し、契約・給与・税のタイミングをそろえることがコツです。通達と制度の一次情報は以下を押さえてください。

改正マップ:3つの要点

  • 1
    2019通達は「最高解約返戻率50%超」から資産計上対象。70%・85%超は資産計上割合・期間がさらに重くなる
  • 2
    2026年度から子ども・子育て支援金の拠出が開始。被用者保険は労使折半、全体平均は月250→350→450円へ段階引上げ
  • 3
    令和8年4月開始事業年度から防衛特別法人税4%が上乗せ。基礎控除500万円あり、決算・解約・退職金の時期調整が重要

支援金導入時の給与・社保の実務対応

支援金は加入する医療保険料に上乗せして徴収されます。被用者保険は総報酬割で、企業と従業員の負担はほぼ労使折半です。2026年4月分からの控除が走るため、5月支給給与から新しい控除項目が必要になります。
実務ポイントは次の3つです。
  • 給与ソフトの保険料率テーブルに「支援金率」を追加し、健康保険・介護保険と区分して設定(こども家庭庁資料のスケジュール・月額目安は (制度の概要PDF) の9ページ)。
  • 就業規則・給与規程に「法定の社会保険料は給与から控除する」を網羅。周知は2025年度内に開始。
  • 従業員周知では「全体平均の月額目安(令和8年度250円、9年度350円、10年度450円)」と総報酬割の考え方(年収連動)を図解で提示(同PDFの試算表)。
参考:支援金の月額イメージ(被用者本人)…標準報酬月額20万円で2028年度400円、30万円で600円、50万円で1,000円((制度の概要PDF) 9ページ)。

従業員周知はどう進める?

支援金で手取りが減るのをどう説明すれば反発が少ないですか?
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
数値で具体化するのが第一歩です。平均的には2026→2028で月約250→450円の本人負担です(総報酬割)。そのうえで、児童手当の拡充や育休・時短給付など“受け手”のメリットを同じ資料で示し、「社会全体で子育てを支える仕組み」であることを丁寧に伝えましょう((制度の概要PDF))。

法人保険の損金・福利の最新設計

2019通達後は、返戻率が高いほど当期損金が減り、資産計上・後年取崩しが原則です。最高返戻率50%超70%以下は「保険料の40%資産計上/取崩しは保険期間75%以降」、70%超85%以下は「60%資産計上」といった帯別の型で処理します((No.5364‑2))。
福利厚生の主軸は、返戻金のない純粋保障型です。総合福祉団体定期保険(死亡退職金・弔慰金の原資)と GLTD(団体長期障害所得補償保険)をベースに、休職・時短と連携したKPI設計に寄せるのが現実的。弔慰金の税取扱いは枠を外さないように(例:業務外死亡は月給6か月相当まで非課税など、詳細は (No.4120 弔慰金の取扱い))。
GLTD給付は「身体の傷害に基因して支払われる保険金」に該当する場合、原則非課税です((No.1760 所得補償保険の保険金))。保険料は福利厚生費として損金算入し、給付は保険会社から従業員へ直接支払の形にして税務リスクを避けましょう。
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
通達後の法人保険は、損金の繰延だけを狙うより、休職・育児・介護の現実に寄り添う福利の設計に振り切るほうが企業価値につながります。

賃上げ促進税制×福利の同時設計

賃上げ促進税制は「税額控除の上限がその年の法人税額の20%」「中小は最長5年の繰越控除」が軸です。給与引上げ計画と福利厚生投資(総福団・GLTDの保険料)を同じ年度計画に載せ、税額控除でネット負担を平準化します。制度要点の概説は民間解説でも確認できます(例:(賃上げ促進税制の概要))。
実務は「対象賃金の定義」「比較年度の選定」「控除率の段階要件」を先に固定し、福利の見直し・導入は支給開始月をそろえると決算の見え方が良くなります。

人的資本開示と福利KPIの作り方

人的資本開示(SSBJ基準)では、方針・戦略・リスク管理・指標目標の4要素での説明が求められます。福利のKPIは「休職からの復職率」「有給取得率」「男性育休取得率」など、制度と紐づくアウトカム指標に設定し、施策(GLTD・総福団・休業支援)との因果を簡潔に示すと説得力が高まります。男性育休の取得状況の公表義務は2025年4月から対象拡大(300~1,000人規模へ)で実務対応が必要です((男性の育児休業取得率の公表))。

出口設計と税務リスク回避

名義変更は“70%評価”に要注意。低解約返戻期間中でも「支給時資産計上額」による評価が必要になるケースがあり、安価譲渡は課税リスクです((所得税基本通達36‑37の解説))。
退職金の“10年ルール”は2026年適用開始の見込み。老齢一時金(iDeCo等)との受取間隔は「前9年内」の重複排除へ改正が進んでおり、退職金・一時金の並び順は再設計必須です(制度改正の大綱は (令和7年度税制改正の大綱(1/9)))。
防衛特別法人税の見込み課税を踏まえ、解約返戻金の受取・退職金の支給タイミングは「増税前に受取、増税後は控除活用」で平準化を検討(適用開始は令和8年4月開始事業年度〜: (防衛特別法人税))。

3ステップ実践フロー

  • 1
    契約の棚卸し(返戻率・受取人・会計処理)→通達の帯で損金判定→福利の空白をKPIで可視化
  • 2
    社内規程・就業規則・退職金規程を整備し、稟議書式に“税務チェック欄”を追加
  • 3
    導入後はKPIと原価(保険料・税額控除)を四半期でモニタリングし、年次で見直し

FAQ:よくある誤解と実務Q&A

Q1. 支援金は“独身税”ですか? → いいえ。医療保険料に上乗せして全世代・全経済主体から広く拠出する「分かち合い・連帯の仕組み」で、児童手当や育休・時短給付などの原資になります((制度の概要PDF))。
Q2. GLTDの給付は課税されますか? → 原則として「身体の傷害に基因して支払われる保険金」は非課税です((No.1760))。給付ルート(保険会社→従業員)を整えて運用しましょう。
Q3. 総福団の死亡退職金・弔慰金の税区分は? → 死亡退職金は相続税の非課税枠(500万円×法定相続人)、弔慰金は範囲内なら非課税です。規程根拠を明記し、支給額の算式を事前に確認してください((No.4120))。

まとめ・無料オンラインFP相談の案内

2019通達の返戻率帯による損金判定、2026年の支援金と給与実務、令和8年開始の防衛特別法人税まで“年表”で捉えると設計の勘所が見えてきます。福利は総福団・GLTDを中核に、人的資本のKPIで評価可能に。出口は名義変更・退職金・防衛特別法人税の3点で時期を揃えれば税務リスクを抑えられます。
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まとめ:重要ポイント

  • 1
    返戻率帯(50/70/85%)で資産計上と損金を判定し、後年の取崩しまで会計フローを固定する
  • 2
    子ども・子育て支援金は2026→2028で本人月250→450円目安。給与ソフトと規程を2025年度内に整備
  • 3
    福利は総福団・GLTD中心に。弔慰金は枠内非課税、GLTD給付は原則非課税を確認して設計
  • 4
    賃上げ促進税制の上限20%・繰越5年を使い、福利コストと税額控除を同じ年度設計に載せる
  • 5
    出口は“70%評価”・“10年ルール”・“4%上乗せ”の3点で時期調整し、税務リスクと負担を平準化する

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